理事長挨拶

日本香粧品学会 理事長

学会員の皆さまへ

日本香粧品学会 理事長 石河 晃

 2017年6月から川島眞前理事長の後を継いで第6代の理事長に就任いたしました。本学会は初代理事長である故安田利顕先生により、香粧品およびそれに関連した医学的問題について科学的に討論する場を作る目的で1976年に設立されました。以来、化粧品の安全性の担保に関する議論、皮膚の構造と機能解析、新規効能の獲得を目指した化粧品機能評価法ガイドラインの策定など非常に多岐にわたる活動を行ってきております。一方、私自身の研究専門領域は皮膚病理学、免疫電顕、水疱症ですが、近年は皮膚科専門医制度の設計に関わっております。東邦大学に赴任して以降、接触アレルギー検査およびその学術報告に関わるようになりましたが、奇しくも加水分解小麦や美白剤の安全性問題が生じた頃であり、安全性の検討を通じて本学会に参画して参りました。
 本学会も不惑の40年を過ぎ、今後10年程度の中長期的視点に立ち、学会の方向性を考える必要があります。昨年立ち上がった企画委員会において学会の目的を学会員の利益のみならず広く社会にむけて「香粧品の有用性と安全性等に関する研究や科学的議論を通じ、美しく健康に過ごす生活を実現することにより社会に貢献することを目的とする」ことを提案させていただき学会規約を改定いたしました。そして今後10年の目標として皮膚科医・薬学・基礎・業界研究者の集合体とした協業が存在していること、香粧品の有用性と安全性を担保するための考え方、評価法、科学的知見を活発に導き出し議論していること、香粧品に関わるステークホルダー(生活者、粧工連、公官庁等)にその存在を十分に認知され、第三者的信頼機関として機能していることを提案いたしました。安全性の担保はもとより、新しい効能を有する香粧品の開発、そのための研究手段の確立など課題が山積しております。今後、国民の皆様に安心して香粧品をご使用いただき、その効能を享受していただくためには企業、大学、学部、官民の垣根を越えた広い視野に立った議論が必要です。特に皮膚科医の学会への積極的参画をお願いしたいと思っております。本学会のさらなる発展のため全力を尽くす所存ですので、皆様方のご指導、ご支援賜りますようよろしくお願いいたします。

2017年9月